2014.03.10
【連載インタビュー】アニメ監督・杉井ギサブローさん/「あだち充作品に出会わなかったら、アニメの現場に戻らなかったかもしれない」と語る巨匠の新たなる挑戦とは!?◆屋根の上のマンガ読み
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「あだち充さんの作品が、僕のアニメーションを変えた」
nnnnn 僕は10年ぐらいアニメの仕事を抜けていた時期があるんですけど、戻ったきっかけは、あだち充さんのマンガなんです。たまたま旅しているときに読んで衝撃を受けたんですが、何が衝撃的だったかっていうと、言葉が少ないのに、なんでこんなに内面が伝わってくるんだっていうところです。あだちマンガは、登場人物たちの内面をセリフで読者に伝えるのではなくて、想像させるというスタイルですよね。たとえば達也が「南!」と呼びかけて、「なに?」と南が振り向く。達也は「なんでもない」としか言わないんだけど、そのとき達也が何を言いたかったか、読者にわかるのがすごいじゃないですか。n 僕は作家が持ってる作風、どこに作品を支えている美学があるのかということを徹底的に分析していくほうなんです。あだちさんの[ナイン]や[タッチ]をやらせてもらったときもそうでした。アニメーションというのは、情感を伝えるのがいちばん難しいんです。 アクションはいくらでも描けるし演出できるけど、人の内面を表現するっていうのは不得意な部分で。当時、アニメーションでそこを表現できれば、もう少しnいろいろな作品ができるんじゃないかと考えていたんです。ちょうどそこにあだちマンガと出会って、チャレンジさせてもらったし勉強になりましたね。n 実は僕は[タッチ]と平行して[銀河鉄道の夜]という作品を作っているんですけど、宮沢賢治という作家も、ジョバンニやカムパネルラが何を考えていたかということをいっさい書かない作家なんです。だから、もしあだちさんの手法を表現できたなら、宮沢賢治も表現できるかもしれないという挑戦をしたんです。引き金はやっぱりあだちマンガなんですよ。nn
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[タッチ]©あだち充/小学館
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作品の骨格を追求
nnnn マンガをアニメーション化する時は、作品が持っている骨格の、どこをポイントに映像にしたらいいかを考えます。マンガだと思うと無理にコミカルにしがちだけど、それよりドラマをしっかり作ったほうがいい。冬目景さんの[羊のうた]なんかでも、それを意識してました。n [陽だまりの樹]は、やっぱり原作の目線がいいですよね。幕末を、町医者と下級武士で描くという組み合わせが絶妙。政治の大事な部分は、町医者のいる巷までは流れてこないですよね。下級武士も一緒で、大きい動きは見えないんだけれど、命令だけは下りてくる。そういう政変に巻き込まれた側から幕末を描こうという意図があったんだと思うんです。n 井上雄彦さんの[バガボンド]なんかは、できるなら映像化してみたいよね、あの空気感を。なんというのかな、時間が想念だという哲学を井上さんが持ってるんだと思うんだよね。そのへんは挑戦してみたい題材だなと思います。ただ、あれは普通にアニメ化したらつまんなくなっちゃうと思うんですよね。それこそあだちさんの話と同じになるけど、登場人物たちの言葉として言わない思いだとか、時間との付き合いだとか。nn
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あだちマンガの影響
nnnn なんてったって僕らの世代は手塚先生の[新宝島]ですよね、新宝島ショック。これは面白さが違うと感じましたね。僕は当時7歳だったんですけど、平積みしてある風景や紙質まで覚えてますから。手塚マンガって、それまでのマンガと違って、全体の構成やドラマの立て方がすごく映画のシナリオっぽい。子供なりに別な意識で読んでましたね。n そういう意味では僕のベースは手塚マンガですけど、あだち充さんのマンガはやっぱり大きいなあ。自分の映画、アニメーション技法を変えた人ですよね。[ナイン][タッチ]と映像化したことで、あだちさんという作家が持ってるひとつのドラマ構成の仕方・伝達の仕方というものが、僕のアニメーションの考え方にものすごく影響を与えてますから。あだちマンガに出会ってなかったら僕はアニメに戻ってないかもしれないし、[銀河鉄道の夜]とか[あらしのよるに]といった作品も、違う発想になっていたでしょうね。nn
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nn《こんな作品もおすすめしていました!》n [ジャングル大帝]手塚治虫n [ライオンブックス]手塚治虫n [罪と罰]手塚治虫nn
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n漫画家やマンガ関係者に憧れているという藤井選手。
n[名探偵コナン]好きとして知られているけど、
nもっといろんな作品を語りたいんです!!
n<3/25(火)更新予定>n
nn【「屋根の上のマンガ読み」バックナンバーはこちら!】nn
nn(取材構成:ビッグコミック編集部・根本和佳(DAN)、撮影:松原康之)nn関連リンクnビッグコミック公式nnn【初出:コミスン 2014.03.10】nnあだち充,タッチ,ビッグコミック,屋根の上のマンガ読み,手塚治虫,陽だまりの樹

